「肌のゴールデンタイム」は22時〜2時なの?
肌の修復を支える成長ホルモンは、時計の時刻ではなく、眠りについたあとの深いノンレム睡眠に伴って多く分泌されます。肌は眠っている間に生まれ変わっているので、睡眠の「深さ」と「長さ」の両方を守ることが大切なんです。
「最近、肌の調子がいまひとつ」「高い美容液を使っているのに、手ごたえがない」――そんなとき、スキンケアを見直す前に、睡眠を振り返ってみてください。肌は、わたしたちが眠っている間にも、修復と生まれ変わりを進めている臓器です。まさに「美肌は眠っている間につくられる」のです。この記事では、そんな睡眠と肌の深い関係を、よく知られた「ゴールデンタイム」の話から一歩踏み込んでご紹介します。
「肌のゴールデンタイム」は22時〜2時ではない
「22時から2時は肌のゴールデンタイム。この時間に寝ていないと肌が荒れる」。「シンデレラタイム」と呼ばれることもあり、ネット記事やSNSで、一度は目にしたことがあるフレーズでしょう。ただ、この時間帯がいつ、どこから広まったのか、はっきりした出典は見当たりません。
成長ホルモンは「時刻」ではなく「深い眠り」で分泌される
ゴールデンタイムの話でよく挙げられるのが、成長ホルモンです。
成長ホルモンは、一般に眠りについたあとの深いノンレム睡眠に伴って多く分泌されます。ただし、肌のための「ゴールデンタイム」を、時計の時刻や寝入りからの時間だけで決めることはできません。
なぜ「22時〜2時」と言われるようになったのか
「早寝が健康によい」「22時ごろに寝るのが理想」といった考え方とあわせて、「22時ごろに寝れば、その後の数時間に分泌が集中する」という説明が広まり、いつしか時刻の話に置き換わったと考えられます。
実際には、分泌は寝る時刻ではなく、眠りに入るタイミングと連動しています。規則的な生活のなかで、十分な睡眠をとることが大切です。
とはいえ、「最初の数時間さえ深く眠れば、あとは短くてもいい」というわけでもありません。睡眠時間そのものが短いと、肌の水分や明るさが低下することが報告されています。成長ホルモンの分泌量は年齢とともに減っていきますが、年齢にかかわらず、睡眠の「深さ」と「長さ」の両方を守ることが大切になります。
肌の表面は日々生まれ変わる
表皮のターンオーバーのしくみ
肌(皮膚)は、表面から「表皮」「真皮」「皮下組織」の3層でできています。いちばん外側の表皮では、奥の基底層で毎日新しい細胞が生まれ、少しずつ形を変えながら表面へと押し上げられていきます。最後は角質となって、垢としてはがれ落ちます。この入れ替わりが「ターンオーバー」です。
表皮のターンオーバーにかかる期間は数週間から2か月程度とされ、部位や年齢、測定方法によって幅があります。ターンオーバーが乱れると、古い角質がいつまでも残ってごわついたり、肌の潤いを保つ成分が作られにくくなったりします。睡眠不足も、肌のバリア機能や水分量に影響することが報告されています。
コラーゲンをつくる線維芽細胞と成長ホルモン
では、成長ホルモンは肌のどこに効いているのでしょうか。表皮の下にある真皮には、「線維芽(せんいが)細胞」という細胞があります。コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸といった、美肌でおなじみの成分をつくり出しているのが、この線維芽細胞です。成長ホルモンは、その仲介役であるIGF-1(インスリン様成長因子1)と協力して線維芽細胞にはたらきかけ、肌のハリや柔らかさを支えています。

皮膚の細胞にも「体内時計」がある
さらに最近では、皮膚の細胞一つひとつにも「体内時計」があることがわかってきました。皮膚の細胞分裂やバリア機能などにも、1日のなかで変動するリズムがあります。
夜にしっかり眠ることは、この肌本来のリズムに合わせることでもあるのです。
この記事のまとめ
肌の修復を支える成長ホルモンは、時刻ではなく、寝入ったあとの深いノンレム睡眠に伴って多く分泌されます。皮膚の細胞にも体内時計があり、夜にしっかり眠ることは肌本来のリズムに合わせることでもあります。「何時に寝るか」より、規則的な生活のなかで深く・十分に眠ることを心がけましょう。
参考文献・出典
- Léger D, et al. "You look sleepy…" The impact of sleep restriction on skin parameters and facial appearance of 24 women. Sleep Med. 2022;89:97–103.
- Oyetakin-White P, et al. Does poor sleep quality affect skin ageing? Clin Exp Dermatol. 2015;40(1):17–22.
本記事は情報提供を目的としたものであり、診断や治療を目的としたものではありません。
症状や治療については、必ず医療機関にご相談ください。
SUPERVISOR
西多 昌規
WRITING
SLEEP ACTION LAB 編集部
SLEEP ACTION LAB の編集チームです。医師・研究者の監修のもと、睡眠の悩みや疑問、そしてさまざまな人の眠り方を取材し、「眠りを、みんなで考える」ための記事をお届けしています。