寝不足だと、肌はどう変わるの?

1晩3時間睡眠をたった2日続けただけで、肌の潤いや明るさが低下したという研究があります。寝不足は顔の印象として相手にも伝わります。寝姿勢や枕も肌に影響するので、眠り方ごと見直してみてください。

寝不足だと、肌はどう変わるの?

徹夜明けに鏡を見て、肌のくすみやカサツキに驚いた経験はありませんか。これは気のせいではありません。

フランスの研究チームは、女性24名に「1晩3時間睡眠」を2日間続けてもらい、十分に眠ったときと肌の状態を比べました。その結果、寝不足のあとは表皮から逃げていく水分の量が増えて肌の潤いが減り、肌の明るさや色味も低下しました。
わずか2日の寝不足でも、肌ははっきり測れるほど変化してしまうということです。
短期間の寝不足だけではありません。
女性60名を対象としたアメリカの研究では、日ごろの睡眠の質が悪い女性は、睡眠の質がよい女性に比べて、肌の内因性の老化(加齢に伴う変化)を示すスコアが高くなっていました。さらに、テープで肌の表面にあえて軽いダメージを与えたところ、睡眠の質が悪い人ほどバリア機能の回復が遅かったと報告されています。
睡眠の質と、肌の「傷んだときに回復する力」との関連を示す結果です。ただし、この研究だけで因果関係までは断定できません。

寝不足で肌荒れするのはなぜ?考えられる3つのしくみ

寝不足が肌を傷めるしくみは、成長ホルモンだけでは説明できません。いくつかの要因が重なり合っていると考えられています。

血流が滞る

寝不足は自律神経や血管の働きに影響し、肌の血流や血色にも関わる可能性があります。

酸化ストレスでコラーゲンが分解される

睡眠不足や睡眠障害では、細胞を傷つける活性酸素などによる酸化ストレスが高まることがあります。活性酸素は真皮のコラーゲンの分解を進め、シワやたるみの原因になります。

炎症とストレスホルモンでバリア機能がおちる

寝不足が続くと、体内で炎症を起こす物質や、ストレスホルモンのコルチゾールが高まりやすくなります。こうした変化は、肌のバリア機能の低下や肌荒れに関わると考えられています。

目の下のクマと「疲れ顔」は、人間関係にも影響する

寝不足のシンボルといえば、目の下のクマです。
目のまわりの皮膚は、全身のなかでもとくに薄いため、毛細血管の血流がよどむと、その色が透けて青黒く見えてしまうのです。ただし、クマには色素沈着やたるみによる「影」でできるものもあり、寝不足によるクマを血行不良だけで説明することはできません。

スウェーデンのカロリンスカ研究所のチームは、十分に眠ったときと寝不足のときに撮影した同じ人の顔写真を、別の人たちに評価してもらいました。すると寝不足の顔は、「魅力的でない」「健康そうに見えない」と評価されただけでなく、「この人とはあまり交流したくない」と感じられやすいことがわかったのです。
寝不足は、顔の見た目から相手に伝わることがあるのです。美容のためだけでなく、仕事やプライベートでの「第一印象」のためにも、睡眠は大切なのです。

寝姿勢や枕も、肌に跡を残す

朝の顔のむくみ

睡眠と肌の関係は、「どれだけ眠るか」だけではありません。「どんな姿勢で、何に顔をうずめて眠るか」も、肌に影響します。
まず、朝の顔のむくみです。立っているあいだ、体内の水分は重力で下半身に集まりやすくなっています。横になると、その水分が上半身や顔に移動してきます。これが朝に顔がむくむ理由のひとつです。寝る前の飲酒や塩分の多い食事は、このむくみを強めます。

同じ向きで寝る「睡眠ジワ」と枕の摩擦

次に、「睡眠ジワ」です。いつも同じ側を下にして横向きやうつ伏せで寝ていると、顔の皮膚が枕で押されたり、ずれるように引っ張られたりする力を毎晩受け続けます。美容外科の分野では、この繰り返しの力が、表情ジワとは別の「睡眠ジワ」を生むと指摘されています。

ここで一度、鏡で自分の顔を見てみてください。左右でシワやたるみに差はありませんか。壁際にベッドを置いている、隣に家族が寝ているといった理由で、多くの人は左右どちらかに偏った向きで寝ています。ただし、寝る向きとシワの左右差の関係は、研究で一貫して確認されているわけではありません。
枕との摩擦も見過ごせません。毎晩こすれることで角質が傷つき、肌の乾燥や色素沈着の一因になりえます。顔への圧迫を減らすには仰向けが一案ですが、寝姿勢を変えることでシワを予防できるかは、まだ十分に確かめられていません。ただし、いびきが大きい人や睡眠時無呼吸症候群の疑いがある人は、仰向けでいびきや無呼吸が悪化しやすいため、無理に仰向けにこだわる必要はありません。美容よりも、呼吸が楽な姿勢を優先してください。

寝不足による肌荒れを防ぐには

寝不足による肌荒れを防ぐ基本は、睡眠時間を確保し、寝入りの深い眠りを守ることです。寝酒や寝る前のスマホを控える、起きる時刻をそろえるといった習慣も、肌のコンディションを支えます。今夜からできる具体的な方法は、美肌のための6つの睡眠習慣の記事で紹介しています。→こちら

この記事のまとめ

わずか2日の寝不足でも、肌の潤いや明るさは測れるほど低下します。寝不足は、血流の変化や酸化ストレス、炎症などを通して肌に影響すると考えられています。また、疲れた顔は相手に与える印象まで変えてしまいます。眠る時間だけでなく、寝姿勢や枕との摩擦にも気を配ることが、肌を守ることにつながります。

参考文献・出典

  • Léger D, et al. "You look sleepy…" The impact of sleep restriction on skin parameters and facial appearance of 24 women. Sleep Med. 2022;89:97–103.
  • Oyetakin-White P, et al. Does poor sleep quality affect skin ageing? Clin Exp Dermatol. 2015;40(1):17–22.
  • Sundelin T, et al. Negative effects of restricted sleep on facial appearance and social appeal. R Soc Open Sci. 2017;4(5):160918.
  • Anson G, Kane MA, Lambros V. Sleep wrinkles: facial aging and facial distortion during sleep. Aesthet Surg J. 2016;36(8):931–940.

本記事は情報提供を目的としたものであり、診断や治療を目的としたものではありません。
症状や治療については、必ず医療機関にご相談ください。

SUPERVISOR

西多 昌規

西多 昌規

WRITING

SLEEP ACTION LAB 編集部

SLEEP ACTION LAB 編集部

SLEEP ACTION LAB の編集チームです。医師・研究者の監修のもと、睡眠の悩みや疑問、そしてさまざまな人の眠り方を取材し、「眠りを、みんなで考える」ための記事をお届けしています。