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藤井隆
タレント・俳優。1972年生まれ、大阪府出身。1990年代からバラエティ番組を中心に活躍し、舞台や音楽活動、ドラマ・映画への出演も幅広い。
あなたにとって睡眠とは?
デザートです
「決めていいよ」の子供時代とテレビっ子の夜
こどもの頃、両親はたいていのことを「自分で決めていい」と言ってくれていた。勿論、ある程度のきまりや範囲がある中での話だけど、友だちから聞く厳しい親御さんの話とうちの親は違うことを知ると「そうなんや〜」と言いながら「ボクはラッキーやな」なんて呑気に感謝していた。

80年代、テレビ黄金期と呼ばれた頃、テレビが娯楽の真ん中にあった時代を子供で過ごしたボクは、もれなくテレビっ子だった。ゴールデンタイムと呼ばれる夜の7時から10時は観たいテレビが続き、7歳年上の兄の影響もあって曜日によっては12時になっても起きていたい日もあった。翌朝、ちゃんと起きるという約束さえ守れば兄と一緒に深夜番組を観てもよかったので、次の日に学校でその番組を観ることができなかった友だちに内容を教えてあげたりしていた。
その頃の体験がベースになっているのか、今も夜になると寝るのがもったいないと思ってしまうふしがあって、あとはもう寝るだけなのにソファーでゴロゴロしたり、床に寝っ転がったりしてしまう。そしてその時間が実に楽しくて好きなのだ。寝る前に必ず歯磨きをするのが自分との毎晩の約束なのだが、眠たいのに寝るのがもったいないから、歯磨きをしたらもう今夜が終わってしまうからと歯磨きまでの時間をのばすために、起きているためにわざわざポテトチップスを食べたりしている時は、頭の中の母親が「も〜歯ぁ磨いたらええやん。寝たらええやん」と、さすがに呆れて注意してくれる。
ラジカセが生んだ「サウンドシステム」の思い出
小学5年生の時、念願のラジカセを買った。SONYに憧れていたボクはSONYのラジカセがやっぱり欲しかったのだが、なんとSANYOからスピーカーが外れるラジカセが発売されて、それを選んだ。今、ネットで検索しても見当たらなかったのだが、真ん中にカセットとラジオ本体そしてハンドルがあって、左右に「ガチャ」とつけたり外したりできるスピーカーがあって、本体から外してコードを伸ばしてスピーカーを別のところにレイアウトできるのがカッコいいラジカセだった。メタリックグレーのそれはなんだか大人っぽくてお気に入りだった。当時夜になれば、お布団を敷いて寝るのだが、机の足元ギリギリにお布団を寄せて敷いて、いわゆる足置きのところにラジカセを置いて、外したスピーカーは枕を挟むように右、左、と耳元に配置して、そこに寝ると立体的なサウンドシステム(のような気)になったのだ。親戚の人に「足があるところに頭を預けて寝るなんて縁起が悪い」と注意されて、「行儀が悪い」なら理解できたのだが、縁起が悪いっていうのがピンとこなくて、囲われた足置き場を棺桶っぽくイメージしたら、楽しかったサウンドシステムがだんだん確かに縁起悪く感じてきて、やめることにした。
理想の寝室とランプへのこだわり
今、寝室はいよいよ自分の理想の寝室に仕上がったと思っている。ベッドと同じ高さに棚があって、これまで大事にしてきた本、雑誌、映画のパンフレット、CD、DVD、ぬいぐるみがすぐ横にある。音楽もすぐ聴けるようになっている。ランプは先輩がプレゼントしてくれたもので、もう20年近く使っている。とても気に入っているし愛着もある。でも、それはそれで大切に使いながら、新しく「これだ」と思えるランプに出会えたら買い替えるのもいいかな、とも思っている。ランプをつけて柔らかな明かりの中、安心しながらいつのまにか寝るのも好きだけど、パチっとランプを消して真っ暗な中、「さぁ、寝るぞ!」と意思をもって眠りにいくのも好きなのだ。
抜群の寝つきとよく見る夢の話
ボクはこどもの頃から寝るのに時間がかからなかった。幼稚園のお昼寝の時間もあまりぐずった覚えもない。幼稚園の記憶なんてあいまいだけど、いくら思い返しても眠れなかった夜というのがほとんどないのだ。親戚の家で枕が変わろうが、田舎のおじいちゃんとおばあちゃんの家の仏間が怖くても、外国のホテルで勝手が違っても、仕事で泊まるホテルの様子がおかしくても、割とスッと眠れるのだ。仕事をするようになって、うまくできなかった日もじくじくと思い返して自分にがっかりしても、お風呂に入って、布団に入り、またじくじく思い返しても10分程度で寝てしまってた。何も落ち込むようなことがない日の場合、本当に5分もかからない。パタッ、スヤ、って感じで寝てしまうのだ。何か違和感を感じて「怖いなぁ〜」って思っても、「怖いなぁ〜 パタッ…怖いなぁ… スヤ」って感じで怖がりながら寝てしまってる。
だからか(だからかどうかはわかんないけど)夢はよく見る方だと思う。怖いなぁ〜と思った夜はバッチリ怖い夢を見るし、お腹いっぱいで寝た時は何かしら食べ物に関する夢を見る。もちろん、まったく関係ない夢がほとんどだけど、割と単純な導入で夢を見ていることが多い気がする。若い頃と比べると、見ていた夢をハッキリ覚えている割合はずいぶん低くなったけど、54歳の今も夢はよく見るし、その内容も覚えている方だと思う。
今日は長年お世話になっている大阪のホテルに滞在中の3日目なのだが、今回はご一緒してないけど、以前に滞在していた時に参加していた舞台で仲良くしていた人が夢に出てきて、大阪ではないような知らない道を一緒に歩いていて、その人が急に絵を描き出してびっくりする、そんな夢だった。
夢をコントロールする明晰夢に憧れた頃があった。夢の中でこれは夢だと気づいて思い通りの夢を見ることができるなんて、なんて楽しいのだろう。トレーニング法もあったりするぐらいだから、多くの人がこれまでも憧れているのだと思う。ボクもそのひとりで、数回、夢の中で「これは夢だ!」と思えた瞬間があった。でも覚えているのはそこまでで、そこから夢の中でのびのびとはできなかった。「これは夢だ」と気づけた瞬間はこう、グッとくるものがあるのに、そこから飛躍できなかった。
明晰夢を体験するきっかけのひとつに「同じ夢を見る」というのがあるらしくてボクも「あ! 知ってる! 前に見たことある!……夢や!」のような感じで夢だと気づけた。ずいぶん昔の記憶なのでごっちゃになっているし、間違えてるかもなのだけど、その見た「同じ夢」っていうのが、犬のようになった自分の手と足が四つん這いでどこかを走っている夢だった。走るのが異常に遅くて、手と足を前に出すのにすごくエネルギーが必要でぐったり疲れてしまうのだ。VRのゴーグルの映像のように手と足が見えるけど、犬みたいな手と足にはなっていないのに、でも人間の手と足でもない感じでなんか怖くてこの辺が曖昧だった。思うように手足が動かないのがもどかしくて、しんどくて、このまま頑張って手と足を動かしていると今度は耳鳴りがして金縛りになりそう、って思った時、2度目の時に「夢や!」と思えたのがきっかけだった。空を飛ぶとか夢らしいストーリーなら「夢だ!」と気づけた後、どんどん自由になれそうだけど、残念ながら金縛りの予兆に感じるほど苦しい状況なので楽しく飛躍できなかったのでは?と想像している。
普段から割と現実的な夢が多くて、生活の延長のような夢が多い気がする。ずばり仕事中の夢を見ることも多いので、家族から聞いた話だと寝言で「おはようございます!」と大声で挨拶していることもあるそうだ。クイズを仕切ってヒントを出してる時もあったそうだ。
意識を持ったまま生まれ変わるなら鳥になりたいと思うほど、空を飛ぶことに憧れているのに、夢の中で飛んだことは数回で、覚えているのは田舎の崖を頭から飛んで、わーー、っと落ちながら地面のスレスレのところで指先をくいっと反らしたら、ゆっくり腹ばいの形になって、「ぺちゃ」って着陸できた、そんな夢だけで、スカーっと空を飛ぶ夢をちゃんと見たのは1回だけかもしれない。明晰夢トレーニングをすっかり忘れていたので、また再開しようと思う。
おでこの金庫と、眠りを変えた枕との出会い
とにかく寝つきがいいので、お布団に入って眠くなってきた時に忘れてはいけないこと、例えば明日の持ち物とか、言わなきゃいけないこととか、メモを残さないと朝になれば忘れてしまいそうな内容なのに、起きて机まで行ってメモ書きするなんて面倒くさ過ぎて無理で。でも、自分がこのままあと少しで落ちるように寝てしまうのもわかってる時、ボクはおでこにある金庫の扉を開けてメモに残し、再び扉を閉める。おでこに黒い観音開きの扉があって両手で扉を開くのだ。
不思議なもので、朝、おでこの金庫の扉を開けるとメモが残っていて、忘れていないのだ。おでこの金庫の扉は何重にもあって頑丈で、よくよく考えると、こんなに何重もの扉の奥に置いてしまったら(思い)出すの大変やろ、と自分でも思うのだが、朝、丁寧におでこにあるダイヤルを両手で昨夜と同じようにくるくると回して扉を開けていくと、書いたままのメモにたどり着けるのだ。寝落ちしてしまう何秒か前に書いて鍵をかけたものなのに、筆跡もそのまま金庫の奥にしまってあるのが自分でもとても興味深いのだ。
なにが「興味深いのだ」だ。
つらつら書いているが、だいぶ変なことを告白していないか? サウンドシステムとか、犬みたいな手足とか、おでこの金庫とか。さらっと寝室にぬいぐるみがあることを言ってしまってるのも、なんとも恥ずかしくなってきた。
変な話ばかり書いてしまったけど、ボクは寝ることが大好きなのだ。そう考えると、眠る場所をこれからもっと大切にしたくなる。ボクにとって、そのきっかけになったのが4年前にプレゼントしていただいたブレインスリープピローだった。今ではマットレスもそろって、寝室は自分にとってものすごく理想の場所になった。

だからボクは今日も寝るのが楽しみなのだ。
SLEEP ACTION LAB 編集部
SLEEP ACTION LAB の編集チームです。医師・研究者の監修のもと、睡眠の悩みや疑問、そしてさまざまな人の眠り方を取材し、「眠りを、みんなで考える」ための記事をお届けしています。