子どもの睡眠不足はどんな影響があるの?
子どもの睡眠不足は、学習面や情緒面の発達に影響を及ぼす可能性があります。「まあいいか」で済ませず、寝る時間を少し意識してあげるとよいでしょう。
子どもの睡眠時間と発達への影響
睡眠は子どもの発達にとって非常に重要な役割を果たしていますが、実は日本は子どもの睡眠時間が世界一短い国であることがわかっています。国際比較の調査でも、日本の子どもたちの睡眠時間は諸外国と比べて明らかに短い傾向にあります。「うちの子、寝るのが少し遅いかも」という程度に感じていても、その影響は想像以上に大きい可能性があります。

子どもの睡眠不足で生じる主な弊害
子どもの睡眠不足によって生じる代表的な弊害には、以下のようなものが挙げられます。
①病気(感染症)にかかりやすくなる
②成長の遅れを引き起こす
③運動能力が低下する
④学力が低下する
⑤イライラや不安が大きくなりやすくなる
⑥肥満になりやすくなる
病気や成長への影響
まず、免疫機能は睡眠中に活性化されるため、睡眠不足では感染症にもかかりやすくなります。また、ホルモン分泌が阻害されることで成長の遅れを引き起こしやすくなります。特に思春期前の子どもは、大人よりも成長ホルモンの分泌量が多いことがわかっており、この時期に睡眠不足になると、思春期を過ぎてから十分な睡眠をとっても成長を取り戻すことが難しくなってしまいます。実際に、睡眠が妨げられていた子どもが睡眠障害の治療を受けたことで、それまで低かった身長が伸びたという事例も報告されています。
体力・学力・情緒面にも影響
国内の子どもを対象にした体力調査では、睡眠時間が短いほど体力の合計点が低くなる結果が出ています。また、睡眠時間が長く、かつ寝る時間が早いほど学力が向上するという調査結果も報告されており、これは睡眠に記憶の定着という働きがあることと一致する結果といえます。
さらに、睡眠不足だと不安や困惑といった感情が引きずりやすく、ネガティブな感情が維持されやすくなることもわかっています。小さい頃に睡眠の質が悪かった子どもは、怒りっぽくなる傾向があるという調査結果も報告されています。加えて、睡眠不足によって食欲がコントロールしにくくなることと、代謝を促す成長ホルモンの分泌が減ることが重なり、太りやすくなる傾向も見られます。
親の睡眠負債は子どもにも伝わる
ある国内調査によると、親に睡眠負債がある場合、子どもにも睡眠負債がある割合が高いという結果が出ています。親の睡眠習慣は子どもに強く影響するということがわかります。また、不登校の実態を調べた調査では、小学生が学校に行きづらいと感じ始めたきっかけの一つに「生活リズムの乱れ」が挙げられており、中学生でも同様の傾向が見られました。子どもたちが健やかに成長するためには、発達段階に応じた早めの就寝や、スマートフォン・ゲームとの適切な付き合い方、休日や長期休みで生活リズムを崩さないようにすることが大切です。親だけでなく、子ども自身が生活を振り返り、自己管理する力を育てていくことも重要になります。

この記事のまとめ
子どもの睡眠不足は、成長や免疫機能だけでなく、体力・学力・感情の安定、肥満リスクにも影響します。日本の子どもは睡眠時間が短い傾向にあり、健やかな発達には、家族で生活リズムや睡眠習慣を整えることが大切です。
参考文献・出典
一般社団法人ブレインヘルスラボ監修『SLEEP PLANNER』PART1「睡眠の基礎知識」第5章9「子どもの睡眠」
本記事は情報提供を目的としたものであり、診断や治療を目的としたものではありません。
症状や治療については、必ず医療機関にご相談ください。
SUPERVISOR
井坂 奈央
WRITING
SLEEP ACTION LAB 編集部
SLEEP ACTION LAB の編集チームです。医師・研究者の監修のもと、睡眠の悩みや疑問、そしてさまざまな人の眠り方を取材し、「眠りを、みんなで考える」ための記事をお届けしています。