なぜ体温が下がると眠くなるの?
深部体温が下がることが、眠りへのスイッチになります。お風呂上がりに眠くなるのは、まさにこの体温変化によるものなんです。
体の内部の温度(深部体温)と眠気の関係:眠る前に体温を下げる理由
「お風呂上がりになんだか眠くなる」という感覚には、実はきちんとした科学的な理由があります。私たちの体には「皮膚温度」と体の内部の温度「深部体温」という2つの体温があります。普段「体温」と呼んでいるのは手足など体の表面に近い皮膚温度のことで、外部環境の影響を受けやすいものです。一方、睡眠に大きく関わっているのは、脳や内臓など体の中心部の温度である「深部体温」です。
深部体温にも1日のリズムがある
深部体温は、体を守るために一定の範囲に保たれるよう調節されていますが、実はこの深部体温にも1日周期のサーカディアンリズムがあり、日中は上昇し、夜になると下降します。この変動は1日の中でおよそ0.7℃ほどといわれています。一方で皮膚温度は逆に、日中は下降し、夜になると上昇するという特徴があります。
眠くなるのは「体温差が縮まる」タイミング
夜になると副交感神経の働きが活発になり、手足など体の末端部分の血管が拡張します。これによって血液の流れが増え、血液がもつ熱で皮膚の表面温度が上がります。このとき、体表面から熱が放出されることで、深部体温が下がっていくのです。赤ちゃんが眠る前に手足が温かくなるのも、この仕組みによるものです。また、睡眠中にはコップ1杯分ほどの汗をかくといわれていますが、この発汗も熱を逃がして深部体温を下げるための体の働きの一つです。深部体温は常に皮膚温度よりも高く、その差は最大で約2.0℃ほど生まれます。そして、深部体温が下がって皮膚温度との差が小さくなればなるほど、眠気は強くなっていくのです。

入浴が「眠くなるスイッチ」を後押しする
入浴によって一時的に深部体温を上げると、その後体温が大きく下がろうとする性質があるため、うまく活用すればスムーズな入眠につながります。しっかりと深部体温を下げて皮膚温度に近づけることこそが、質のよい睡眠をとるうえで重要なポイントなのです。

この記事のまとめ
眠気には、体の中心部の温度である「深部体温」が関係しています。夜になると手足から熱が放出され、深部体温が低下。皮膚温度との差が小さくなるほど、眠気が強くなります。入浴で一時的に深部体温を上げると、その後の体温低下が促されるため、スムーズな入眠につながります。
参考文献・出典
一般社団法人ブレインヘルスラボ監修『SLEEP PLANNER』PART1「睡眠の基礎知識」第5章1「体温調節」(執筆:丸山崇/本文54ページ)
本記事は情報提供を目的としたものであり、診断や治療を目的としたものではありません。
症状や治療については、必ず医療機関にご相談ください。
SUPERVISOR
丸山 崇
WRITING
SLEEP ACTION LAB 編集部
SLEEP ACTION LAB の編集チームです。医師・研究者の監修のもと、睡眠の悩みや疑問、そしてさまざまな人の眠り方を取材し、「眠りを、みんなで考える」ための記事をお届けしています。