なぜ夢を見るの?

眠っている間、脳は日中に経験した出来事や感じたことを、もう一度呼び起こして整理していると考えられています。夢は、その働きの中で生まれるものといわれています。変な夢を見た日も、脳がしっかり働いている証拠かもしれません。

「昨日、なんだか脈絡のない変な夢を見た」——そんな経験は誰にでもあるものです。夢は、日中の記憶や感情を脳が再活性化している過程で見ていると考えられています。夢はレム睡眠・ノンレム睡眠のどちらでも出現しますが、レム睡眠中のほうが出現する頻度は高く、視覚的なイメージも鮮明で内容がはっきりしています。目覚めたときに覚えている夢のほとんどは、レム睡眠中に見た夢だといわれています。ただし、夢に関する報告は数多くある一方で、そのメカニズムはいまだ完全には解明されていません。 

なぜ夢には「ストーリー」があるのか

レム睡眠中の夢には、ストーリーがあるといわれています。レム睡眠中には急速眼球運動が起きていいます。その中で、実際には視覚情報が入ってきていないにもかかわらず、視覚情報を処理する際と同じような脳の電気活動が記録されており、この活動が夢の中の視覚的なイメージを生み出していると考えられています。また、レム睡眠中は、脳の中で視覚や情動を司る部位の活動が活発になる一方、情報を整理・統合する前頭葉の働きは低下することもわかっています。レム睡眠中の夢が、ストーリーや鮮明な映像を伴いながらも、どこか非現実的で脈絡に乏しいのは、この前頭葉の働きの低下が関係していると考えられます。

悪夢もレム睡眠だけとは限らない

長く不快な夢を繰り返し見る「悪夢障害」というものがありますが、こうした悪夢はレム睡眠中にしか起こらないと思われがちです。しかし実際には、浅いノンレム睡眠中にも悪夢を見ることがわかっています。震災や事故などのつらい経験がフラッシュバックのように悪夢に現れる心的外傷後ストレス障害(PTSD)においても、レム睡眠だけでなく、浅いノンレム睡眠中に悪夢が現れることが報告されています。

夢を「覚えていない」のにも理由がある

近年の研究では、脳内のある神経細胞群がレム睡眠中に記憶を消去する働きに関わっていることが発見されました。私たちが多くの夢の内容を覚えていられないのは、この仕組みが働いているためだと考えられています。強い恐怖を伴う記憶がトラウマとして残ってしまうPTSDの治療にも、こうした記憶消去の仕組みを応用する研究が期待されています。

この記事のまとめ

夢は、日中の記憶や感情が脳内で再活性化する過程で生じると考えられています。レム睡眠では鮮明でストーリー性のある夢が多い一方、ノンレム睡眠でも夢や悪夢は出現します。夢を忘れる仕組みについても研究が進んでいます。

参考文献・出典

一般社団法人ブレインヘルスラボ監修『SLEEP PLANNER』PART1「睡眠の基礎知識」第5章5「レム睡眠と夢」

本記事は情報提供を目的としたものであり、診断や治療を目的としたものではありません。
症状や治療については、必ず医療機関にご相談ください。

SUPERVISOR

西多 昌規

西多 昌規

WRITING

SLEEP ACTION LAB 編集部

SLEEP ACTION LAB 編集部

SLEEP ACTION LAB の編集チームです。医師・研究者の監修のもと、睡眠の悩みや疑問、そしてさまざまな人の眠り方を取材し、「眠りを、みんなで考える」ための記事をお届けしています。