歳をとると早く目が覚めるのはなぜ?

年齢を重ねると深いノンレム睡眠が減っていくため、眠りが浅くなりやすくなります。決して思い込みではなく、体の自然な変化なんですよ。

「若い頃はぐっすり眠れていたのに、歳をとってから眠りが浅くなった」と感じる方は少なくありません。これは思い込みではなく、加齢に伴う体の自然な変化として説明できます。年齢を重ねるごとに、若い頃よりも長く眠れなくなったり、眠りが浅くなったと感じたりするのは、ある程度自然なことです。この場合、若い頃の比較するのではなく、同世代と比べたどうかを確認することも重要です。ただし、こうした変化が日常生活に支障をきたすようであれば、睡眠障害につながる可能性もあるため注意が必要です。

睡眠時間が短くなり、早寝早起きになる

年齢を重ねるにつれて、必要な睡眠時間は少しずつ短くなっていきます。60歳以上になると6時間前後になることが多く、若いときと比べて「眠れない」ことへの不安を感じやすくなりますが、これは自然な変化なので、過度に心配する必要はありません。睡眠時間が短縮すると、必然的に早起きになり、早朝から朝日を浴びる生活リズムになっていきます。かなり早い時間から太陽の光を浴びる生活が続くと、約24時間の体内時計サーカディアンリズムが前倒しに固定されていき、ホルモンが分泌される時間帯も前倒しになるため、就寝時間が早まり、朝早く目が覚めやすくなるのです。

眠りが浅くなり、中途覚醒も増える

年齢が上がるにつれて、入眠初期に現れる深いノンレム睡眠(ノンレム3)が出にくくなります。そのため、睡眠中の尿意や小さな物音にも反応しやすくなり、夜中に目が覚める「中途覚醒」も増加していきます。こうした変化によって日中の疲労がうまく解消できなくなり、長時間眠ったとしても日中に強い眠気を感じやすくなってしまいます。深いノンレム睡眠が減少する背景には、脳の神経細胞の減少や、神経細胞の活動を支えるグリア細胞の機能低下があると考えられています。

体の機能低下も睡眠に影響する

加齢によってホルモンの分泌する働きが少しずつ衰えてきます。夜になると分泌され、体を眠りへと導く「メラトニン」の分泌量も減少し、寝つきが悪くなりやすくなります。また、血のめぐりが悪くなることで体温を調節する働きが低下すると、眠る前にうまく体温が下がらず、寝つきの悪さや途中で目が覚める中途覚醒の原因になります。
さらに、体内時計をリセットする役割をもつ脳の部位が光を感知する機能も鈍くなります。これは人と会ったり、運動量の減少が重なることで、約24時間の体内時計サーカディアンリズムの調節機能そのものが整える力そのものが弱まりやすくなります。
こうした体の機能変化によって睡眠の質が落ち、睡眠不足になると、記憶力や注意力の低下による転倒・骨折などの事故リスクが高まったり、意欲や感情のコントロール機能の低下からうつ病発症のリスクが高まったりすることも報告されています。

加齢による睡眠の変化は、誰にでも起こりうる自然なプロセスです。過度に不安を感じるのではなく、日中の光の浴び方や体温管理などを意識しながら、うまく付き合っていくことが大切です。

この記事のまとめ

加齢とともに睡眠時間は短くなり、深い睡眠が減って中途覚醒も増えやすくなります。体内時計やホルモン、体温調節機能の変化も睡眠に影響します。年齢による自然な変化を理解し、日中の光や活動を意識することが大切です。

参考文献・出典

一般社団法人ブレインヘルスラボ監修『SLEEP PLANNER』PART1「睡眠の基礎知識」第5章6「加齢と睡眠」

本記事は情報提供を目的としたものであり、診断や治療を目的としたものではありません。
症状や治療については、必ず医療機関にご相談ください。

SUPERVISOR

西多 昌規

西多 昌規

WRITING

SLEEP ACTION LAB 編集部

SLEEP ACTION LAB 編集部

SLEEP ACTION LAB の編集チームです。医師・研究者の監修のもと、睡眠の悩みや疑問、そしてさまざまな人の眠り方を取材し、「眠りを、みんなで考える」ための記事をお届けしています。