睡眠を良くする栄養素はあるの?
トリプトファン・グリシン・GABAなど、リラックスや入眠を助けるとされる栄養素があります。ただし、サプリメントで摂取した場合の効果については、まだ研究段階のものも多くあります。
睡眠に良い栄養素とは:GABA・グリシン・トリプトファンの効果
スーパーやドラッグストアで見かけるお菓子やサプリメントに含まれるGABA、睡眠への効果や作用機序について、気になってる方も多いのではないでしょうか。ここでは代表的な3つの栄養素について、その働きと注意点を見ていきましょう。
トリプトファン:セロトニン・メラトニンの材料
必須アミノ酸の一つであるトリプトファンは、脳に運ばれるとセロトニンを生成します。「トリプトファンと睡眠」の関係でいうと、セロトニンにビタミンB12が働くことで、夜にはメラトニンが合成・分泌されます。トリプトファンは卵、かずのこ、大豆製品、乳製品、かつお節などに多く含まれています。トリプトファンを脳へ届きやすくするコツは、炭水化物と組み合わせて摂取することです。特に食物繊維を含む「複合炭水化物」(精製されていない穀物、豆類、野菜など)と一緒にとると、血糖値の急上昇を抑えつつ、トリプトファンが脳に運ばれやすくなります。
グリシンとGABA:それぞれの特徴と注意点
グリシンは非必須アミノ酸の一種で、熱放散を促し深部体温を下げる働きがあります。グリシン自体に眠気を引き起こす作用はありませんが、体温調節機能が衰えた高齢者や、入眠時の緊張が強く体温が下がりにくい方には、睡眠改善の効果が見込める可能性があります。エビ、ホタテ、イカ、ホウレンソウ、枝豆などに多く含まれています。GABAは、心身をリラックスさせ、脳の興奮を鎮める働きがあるといわれる成分です。ただし、口から摂取した場合には血液脳関門によって脳への侵入が阻まれるため、脳内から直接入眠を促すとは考えにくいとされています。末梢に作用してリラックス効果をもたらしている可能性はありますが、経口摂取による効果についてはまだ解明されていない部分も多いのが実情です。GABAはトマト、ケール、パプリカ、メロン、バナナなどに多く含まれています。
サプリメントを活用する際の考え方
近年は、こうした栄養素を手軽に摂取できる「サプリメント」も数多く販売されています。寝る前にGABAの入ったサプリや食品を取り入れることで、心理的に安心して眠れるのであれば、摂取すること自体に問題はないと考えられています。ただし、サプリメントの効果には科学的にまだ十分に解明されていない部分もあるため、「これさえ飲めば眠れる」と過信せず、規則正しい生活習慣とあわせて、うまく活用していくという姿勢が大切です。
この記事のまとめ
トリプトファン・グリシン・GABAなどは、体温調節やリラックスなどを通じて睡眠を支えると考えられています。ただし、サプリメントによる効果には未解明な点もあります。特定の成分に頼りすぎず、バランスのよい食事と生活習慣を基本にすることが大切です。
参考文献・出典
一般社団法人ブレインヘルスラボ監修『SLEEP PLANNER』PART2「睡眠の応用知識①」第5章3「睡眠によい栄養素」
本記事は情報提供を目的としたものであり、診断や治療を目的としたものではありません。
症状や治療については、必ず医療機関にご相談ください。
SUPERVISOR
西野 精治
スタンフォード大学医学部精神科教授。ナルコレプシーの発生メカニズム解明で世界的評価を受ける睡眠研究の権威。ブレインスリープ創業者として、研究の知見を暮らしの中に活かす活動にも取り組んでいる。
WRITING
SLEEP ACTION LAB 編集部
SLEEP ACTION LAB の編集チームです。医師・研究者の監修のもと、睡眠の悩みや疑問、そしてさまざまな人の眠り方を取材し、「眠りを、みんなで考える」ための記事をお届けしています。