不眠症は薬以外で治療できるの?
認知行動療法(CBT-I)という、睡眠に関する考え方や行動のクセを見直すことで不眠を改善する心理療法があります。海外では標準的な治療法として広く認められています。
不眠症の認知行動療法(CBT-I)とは
不眠症の治療というと、まず睡眠薬を思い浮かべる方も多いかもしれません。しかし、薬を使わずに不眠の改善を目指す治療法のひとつに「認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy for Insomnia:CBT-I)」があります。
CBT-Iは1970年代から欧米を中心に研究が進められ、長年の研究によってその有効性が確かめられてきました。
CBT-Iで期待できる効果
研究では、不眠症の人の7〜8割に改善がみられるとされ、特に「寝つき」「夜中に目が覚める」「睡眠の質」といった悩みの改善に効果が期待されています。
睡眠薬による治療と同程度、またはそれ以上の効果が報告されているほか、心や身体の病気に伴う不眠にも効果が期待されています。また、睡眠薬と併用することもでき、睡眠薬を減らしたり、やめたりする際のサポートにつながることも報告されています。
こうした効果から、欧米では不眠症に対する治療として広く推奨されています。
CBT-Iでは何をするの?
CBT-Iでは、不眠につながっている生活習慣や、睡眠に対する考え方・行動のクセを見つけ、それを少しずつ見直していきます。
例えば、
「今日も眠れないかもしれない」と考えて不安になり、かえって目が冴えてしまう。
眠れないと何度も時計を確認し、「もうこんな時間」と焦ってしまう。
このような眠りを妨げている考え方や行動のクセに気づき、より眠りやすい習慣へと変えていくのがCBT-Iの大きな特徴です。
標準的なCBT-Iでは、睡眠について正しく知る「睡眠教育・睡眠衛生」、ベッドと睡眠の結びつきを整える「刺激制御療法」、ベッドで過ごす時間を調整する「睡眠制限療法」、心身の緊張を和らげる「リラクゼーション」などを組み合わせて行います。
一般的には、1回50分程度のセッションを4〜6回ほど行いながら、睡眠の改善を目指します。
ただし、CBT-Iの効果には個人差があります。また、「寝つきを改善したい」「夜中に目覚める回数を減らしたい」「睡眠薬を減らしたい」など、目指すゴールも人によって異なります。一人ひとりの睡眠の悩みや目標に合わせながら取り組んでいく治療法です。
この記事のまとめ
CBT-Iは、睡眠に関する考え方や行動習慣を見直し、不眠の改善を目指す心理療法です。寝つきや中途覚醒、睡眠の質の改善が期待され、睡眠教育や睡眠スケジュールの調整などを組み合わせて行います。
参考文献・出典
一般社団法人ブレインヘルスラボ監修『SLEEP PLANNER』PART2「睡眠の応用知識①」第7章1「認知行動療法」
本記事は情報提供を目的としたものであり、診断や治療を目的としたものではありません。
症状や治療については、必ず医療機関にご相談ください。
SUPERVISOR
岡島 義
WRITING
SLEEP ACTION LAB 編集部
SLEEP ACTION LAB の編集チームです。医師・研究者の監修のもと、睡眠の悩みや疑問、そしてさまざまな人の眠り方を取材し、「眠りを、みんなで考える」ための記事をお届けしています。